イヌ枇杷とイヌビワコバチ

近くにイヌ枇杷の木があります。

 

最初はどこからか小鳥が運んできたのでしょう。

年々育っていって、今年にいたっては今までに無くたくさんの実をつけています。

 

枇杷とは言いますが,無花果の仲間で、見た目はミニチュア無花果です。

 

 

 

 

植物名に「イヌ」とつくものは、役に立たないということを意味しているのですが

(失礼なネーミングですね)

この子も、食べられるとはいえ糖度が低いので

コンフィチュールにするのに向いているかも知れません。

 

 

 

イヌ枇杷には共生しているイヌビワコバチという小さな小さな蜂の仲間がいます。

 

 

無花果は実自体が花(咲いているのは内部なのですが)なんだよと

聞いた事がお有りかと思いますが

イヌ枇杷もまたこれが花。メスの花「雌花」です。

 

 

 

 

イヌビワコバチはイヌ枇杷の雄花(オバナ)に潜り込んで雄花の胚珠に卵を産みつけ、

その雄花の中でチュウエイという寄生場所を作りふ化します。

メスより先に生まれるオスはメスが居るチュウエイを破って入り込み

そこで交尾をするのだそうです。

 

交尾後、チュウエイから出ていくメスは

カラダにたっぷりと花粉をまとって雄花からも出て、再び別のイヌ枇杷の雄花に潜り込んで産卵します。

オスのイヌビワコバチは、イヌ枇杷の外に一歩も出る事無く

イヌ枇杷の中で短い一生を終えます。

 

 

この循環ではイヌ枇杷自体に受粉の機会がないので共存は成り立たないのですが・・・・

 

 

イヌ枇杷の雄花と雌花はとても形が似ていて

イヌビワコバチのメスの中には、間違えて雌花に入り込んでしまう子があるのだそうです。

 

雌花の入口は雄花に比べてとても狭く、一匹のイヌビワコバチしか通る事が出来

しかも、トラップのように、一匹が入ると雌花の口はかたく閉じてしまいます。

 

一匹のイヌビワコバチのメス。

雌花に閉じ込められたものの、

雌花は内部の造りの加減で胚珠にコバチの産卵管が届かないようになっていて

産卵も出来ずに入口でそのまま死んでしまいます。

 

イヌ枇杷の雌花はというと、この一匹のメスが身体につけてきてくれた雄花の花粉で受粉し

種子をつくり、熟していきます。

 

 

なんと・・・。

雄花と雌花とを間違えたこのメスのミッションは

イヌ枇杷を受粉させる事だったのです。

 

 

イヌ枇杷はイヌビワコバチがいないと受粉できませんし

イヌビワコバチはイヌ枇杷の中でしか子孫を残せないのです。

共存し、共にあることで種の保存が成り立っているわけです。

自然の中には、なんでこんなうまい具合に成ったのか!と驚嘆することが沢山ありますね。

 

 

 

ほんと、畏怖の念を抱かずにはおれません。

 

 

 

 

イヌビワコバチのオスも

生まれてきて、イヌ枇杷の中しか知らないけれど、

それでも「種の存続」っていう重要なミッションを負って生まれてきているんですよね。

小さな実の中で果たされ続けている重要なミッションの証し。

 

 

 

 

 

 

 

と、思ってあらためて見ると

なかなか感慨深いものです・・・笑

 

 

 

 

 

 

ちなみに。

熟したイヌ枇杷の実にメスコバチの死骸が残っているという事もありませんし

食用として販売されている無花果は

虫と共生せずに結実するようになっているそうです。

 

虫嫌いな方、ご安心を。

 

 

 

 

 

人もまた、個々にその人にしかなし得ない

果たすべき、ミッションを負って生まれてきているんだと思います。

 

ひとりひとりが自分のミッションとは何かに気付き

それを果たすために邁進することに人生を注ぐならば

もっともっと美しい社会になるでしょう。

 

人も動物のひとつとして

心を自然に置き、勘なり感を研ぎすます時間が

無くてはなりませんね。

 

 

 

 

 

イヌ枇杷とイヌビワコバチのお話でした。