クスノキへんげ

植物にも新陳代謝がある。

 

当たり前ではありますが

 

何年か前の春に

楠の葉の散るのを誰かが「新陳代謝ね」と言ったのがとても印象的で、

 

今日も冷たい風にハラリと舞う楠の葉を見ながら

思い出しています。

 

 

ほんのさっきまで自分の一部だったものを潔く手放し

また新たに同じ様のものを育む。

落ちた葉は小さな生物の餌になり生分解され

それがまた自らの栄養となり・・・

 

 

やっぱり

意味のないものなんて何もないと思う。

人が理解できないことも含めて。

 

 

 

 

 

楠の木から採取する結晶を「樟脳」と言います。

多くの人が思い浮かべる、おばあちゃんの着物の匂い・・・というのは

おおよそが「樟脳」にとって変わって使われるようになった化学的な防虫剤のもので

悲しいかな、樟脳は後出のそれのせいで「くさいあれでしょ?」という汚名を着せられています。

 

本当の樟脳は清々しく、元気になれそうな素晴らしい香りなのです。

 

 

石油で様々な製品が作られるようになるまで、

樟脳は日本の重要な輸出品でした。

何に使われたかというと、映画のフィルムなどセルロイドの製造だったそうです。

 

江戸の頃は藩の専売品とされ、樟脳を作る術を持っていた藩が貿易で財を得て

それを元手に武器を購入し幕府に兵をあげる力を持ったと言われています。

 

明治になってからは藩ではなく国の専売品として

外貨を得る主要な商材とされていましたが

火が消えるようにパタリと需要がなくなった後は、

専売だったがゆえに製造者は国内に販路を持っておらず

まるで存在しなかったかのように影が薄らいでしまったという悲劇の製品です。

 

 

hitofushiで取扱させていただいている樟脳オイルと樟脳は現在五代目が受け継ぎ

江戸時代と変わらない製法で作られています。

チップにした楠の木を大きな蒸し窯に突き込め、

湯釜で蒸して上がる蒸気を集めて地下水で冷却。

冷やしたタンクには樟脳オイルと結晶「樟脳」が溜まります。

 

樟脳成分が抜けた窯の楠のチップは乾燥させ

今度は湯釜を沸かす燃料にされます。

 

無駄なく全部が楠の木。

 

 

たくさんのチップからほんの少しの結晶しか取れないので

樟脳は特に貴重品。

hitofushiにも一年に一度しか届きません。

 

防虫剤として洋服タンスや掛け軸や古書の保管に使っていただいています。

自然の良い香りで、薬品を使わない安心感が人気ですが

何せ手に入りにくくて・・・

ご迷惑をおかけします。

 

 

 

 

ちょうど先日、一年越しに樟脳が入荷いたしました。

 

 

 

 

 

 

 

ぜひ本物の香りを知ってくださいね。

 

 

 

よろしくどうぞ。